MC-130H コンバット・タロン II
ピエロの鼻を付けたようなMC-130Hは、一目でこの航空機が特別な任務と目的で造られたことが想像できる変わった輸送機である。MC-130E型を湾岸戦争の教訓を生かして改造し 全天候で地形を追随できるレーダーを追加したことが 一番大きな特徴。ピエロの鼻は、このAN/APQ-170レーダーを納めるドームである。M型は、1990年初期から開発が開始されたそうであるが。ピエロの鼻以外E型からの変更点は機体構造の強化(機体後部とローディングベイ)や、GPSの搭載などだそうだ。
世界の警察を自負するアメリカの空軍として 各地の内乱への介入や自国民の救出などで 通常の輸送機では任務がこなせない様な特殊な作戦に投入されるため いろいろと機材を追加している。元々は、ベトナム戦でこっそりと特殊部隊を戦線に送り込むために造られた機体だったが その使い勝手の良さからか 救出作戦に使われることが多くなった。
文献によると MC-130Hが初めて投入されたのは1995年大統領選後の混乱のさなかにあるリベリアで アメリカ大使館の2000人の一般市民を避難を援助するための特殊部隊の投入に用いられたそうだ。リベリアの内乱も種族間の対立と過去アメリカの一方への支援などが原因であり その後もトラブルが続き何回にもわたって救出作戦に用いられた。特に有名なのが モブツ政権崩壊後のザイール(現コンゴ共和国)での外国人救出劇で 第1次第2次ペリカン作戦において 外国人居留民5000人を救出させた作戦にも参加している。
MC-130P コンバット・シャドウ
昔 航空機の写真を撮り始めたころ先輩方からこのC-130の愛称を教わった、”ヒゲどぶ””タレどぶ”なんてあまり聞こえの良くない愛称であったが よく機体の特徴を捉えていて すぐに覚えることができた。MC-130Pはもともと、HC-130Hと呼ばれていて その後MC-130Pに名称変更しているので 救難専門任務から始まっている。文献からそのまま引用すると HC-130Hは、敵地での捜索救難支援機として設計されたもので、その後救難ヘリに対する空中給油能力を搭載して、HC-130N、HC-130Pとなったそうだ。P型とN型の相違点は、P型にフルトン回収システムが装備されていることのみであった。フルトン回収システムは、映画「グリーン・ベレー」にも出てくるが 救護する人を空から回収するための装置で ワイヤー式気球を救護者に付け 気球を空に浮かべた後 HC-130Hの機首に付けた”ヒゲ”のようなフックでワイヤーを巻き上げ 人間を空中でキャッチするというすごい発想から生まれた仕掛けである。1982年にフルトン回収システムで 回収された人が首の骨を折るという死亡事故を起こしたことにより 1992年廃止された。これによってP型とN型の相違が無くなったことに伴い この機体の任務を正確に反映するためMC-130Pと名称変更したとされている。この結果、ほとんど他のMC-130シリーズと任務上の相違も無くなり 主に夜間の侵攻作戦よりも昼間の救出作戦の支援(救難ヘリへの空中給油)や物資投下などに用いられることが多くなり シャドウの名の由縁となったようだ。